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銀魂改修羅編⑦

⑦媒介
方々に広げた枝から漏れる強い光が、銀時の髪や着流し落ち、黒と白のコントラストとなって美しく映える。じゃんじゃんと蝉が耳元まで騒々しいが、歌舞伎町の我が家に比べれば、鬱蒼と繁るこの森の中は幾分か過ごしやすい。
この森は見覚えがあった。いつか、カブトムシ狩りと称して新八と神楽を連れて来た森だ。
その森に再び万事屋が揃うが、新八の見慣れない暗い笑みと緋い瞳から、酷く居心地悪いものになっていた。

『銀時…棒切れ振り回して何遊んでるの?』
新八の声ではあるが、新八ではないそいつに、銀時は返した。
『…おめぇ誰だ?』
神楽が心配そうに銀時を見ている。新八は、ふっと徐に銀時から目を離すと、地面に伏せって居る毘夷夢星人達を見下す様にゆっくり見回した。
『ぐあ‼』
『ぎゃあああ‼』
虫の息だった毘夷夢星人達が、突然断末魔の声をあげ、ピクリとも動かなくなった。
銀時が木刀を新八に掲げ、唸る。
『てめえ…』
新八は、にやりと口角を上げた。
『…言ったろ?君の、家族さ…同族だよ。』
『新八から離れろ…』
銀時は木刀を持つ手に力を入れた。
『…僕にはもう、器が無いからねぇ。丁度いいこの器、やっと見つけたんだ。媒介できる子なんて貴重なんだよ…?』
『…媒介?』
新八は、自らの頬をするりと撫でた。
『…この子の中にある白夜叉の力だよ。前に何処かの船で見つけてたんだけど、見失っちゃってねぇ…この星に銀時が居るって聞いて、もしかしたらって探したらやっぱりいた…同族は引き合うんだよ?』
『…俺に何か用でもあるんですか』
銀時は突き放すように言った。
『銀時、君の苦しみを分かるのは僕だけだよ。…何処にも同じ仲間なんて居なかったろ?
何処に居てもまた化け物扱いされて逃げなきゃいけないよ?
あの日から僕達の居場所なんてないのさ…
さあ、僕と一緒に宇宙に行こう?器なんて必要ないんだから…』
新八が頬に当てた手を銀時に差し出した。
銀時は、眉をピクリと動かしたが、すぐ横目で神楽を見ると
『神楽、ちょっと、さっちゃんの具合見て来い。』
と言って、左手で神楽の腕を掴んだ。
『だって⁈銀ちゃんは?』
神楽が泣きそうになる。
『…お前だから、さっちゃんのこと頼めるの。俺は、新八起こしたら、連れて行くから。約束だ。』
銀時は神楽に微笑む。こんな表情をする時の銀ちゃんは本気だ、自分は足手まといになると神楽は思った。
『…わかったヨ、銀ちゃん。新八、絶対連れて来いヨ?』
神楽の蒼い目が揺れる。
銀時は頷き、掴んだ神楽の腕を更にぐっと握った。すると、神楽は次の瞬間消えてしまった!
銀時は深く息を吐くと、ゆっくり木刀を中段に構え直し、新八を睨んだ。緋い目が光る。
『言いたい事はそれだけか?』
『…銀時…』
新八が囁く。
『…同族だあ?宇宙だ?…お前なんか知るか‼』
銀時は怒鳴ると同時にふっと消え、新八の正面に飛ぶと木刀を彼の首に押し当てた。
『…俺ア、気が短いんだよ…いい加減…新八から…離れやがれええええ‼』



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銀魂改修羅編⑨

⑨見舞
銀時は夢をみた。何処か知らない星が消える夢だった。目を覚ますと、目尻から涙が流れている。
時々、銀時は、誰かの残留思念を拾ってしまうが、此れは誰かの思念だったのか。新八に取り憑いていた彼奴か。
急いで涙を拭って当たりを見回す。もう夜のようで、部屋は薄暗く、消毒液の匂いと、カーテンに仕切られたベッドに寝ているので、ここは病室だと理解した。包帯でぐるぐる巻きにされている。身体が重い。
『銀さん、起きました?』
カーテンの向こうから聞き慣れた少年の声。
『…んあ?ああ、悪かったな…。運ぶの大変だったろ?』銀時は天井を見上げながら言った。
『…まあ、何時もの事ですから…』
新八がくすりと笑いながら返す。
『さっちゃんと神楽は?』
『さっちゃんさんは、銀さんの隣のベッドで寝てますよ。銀さん連れて来た時に、土方さんが居て、松平の旦那さんの計らいで、傷跡も残らないよう綺麗にしたから伝えておけ、と言われましたよ。』
銀時は、ちっと舌打ちしたが、さっちゃんに何時も危険な仕事をさせてやがるんだ、それくれぇ当たり前だわと、胸糞悪い気持ちを抑えた。さっちゃんの顔見てぇなあと思った時、ベッドのカーテンが開かれ、右隣のベッドにさっちゃんが静かに寝ていた。いつだったか、睫毛まで藤色だな、と言ったら、銀さんこそ、睫毛まで銀色ね、と言われたのを思い出す。やっぱりさっちゃんは綺麗だ。
『新八、ありがとな。』
新八も包帯だらけで、痛々しい。
『そういえば、オペ前にさっちゃんさんが、麻酔は要らないとか言って騒いだって…銀さんが来るのに眠って居られないって言ってたらしいですよ』
銀時は目を丸くし、そして嬉しそうに
『…相変わらず馬鹿だなぁ。』
と笑った。さっちゃんさんと付き合い出して、銀さんはこんな顔もするんだと新八は思った。
『神楽ちゃんは僕の隣のベッドです』
銀時は耳を疑った。神楽が入院?森の中では擦り傷だったはずだ。新八は、神楽のベッドのカーテンを少し開けた。手足をギプスで固定され、吊られたまま神楽はヨダレたらしながら寝ていた。
『なんでも、銀さんに飛ばされた場所が、この大江戸病院上空約30メートルだったそうですよ…神楽ちゃんも流石に傘なしで、厳しかったって言ってました…』
銀時は、新八の睨む目をかわして、冷や汗を流す。明日の朝、俺、神楽に息の根止められねぇか?
『いや…人を飛ばすの、慣れてなくてよ?…』
『銀さん、もしかしてラジコン操縦下手でしょ?神楽ちゃんだから怪我ですんだんですよ?ホント気を付けてくださいよね。』
新八が頬を膨らませて居る。
神楽には悪いが、説教モードの新八はなんだか安心する。
『…ところで、新八、おめぇ、まだ俺に言ってねぇ事あるだろ?』
新八はぎくりとした。
銀時は続ける。
『神楽が言ってたぜ?夜中に魘されて吐いてるって…
昔の事は何もしてやれネェが、背負い込んでるもんが重くて倒れそうな時は、俺も肩ぐれぇ貸すからよ?』
『…?あ…はい。すみません…』
新八は、自分のベッドに座り頭を掻いた。
『まあ、思いの外辛かったです…今度からは、すぐ病院に連れて行ってもらいますよ…嘔吐下痢を見くびってました…』
『そうか…ん?は⁈』
『たぶん、先日、銀さんが夜コンビニのバイトで居ない時、さっちゃんさんが貰い物って持ってきてくれた納豆だと思います…なんかヘンな色してるなぁと思ったんですが…折角持ってきて頂いたし、珍しいものって言ってたんで、そう言うものかと…神楽ちゃんは納豆なんてシティ派は食べないアルとか言っちゃってましたが…
もう、その夜から数日、トイレの往復ですよ…。夜も寝れないし…吐き気は収まらないし、毘夷夢星人が押し入った時は、もう限界で、倒れてしまって…先程、病院の人に、脱水症状起こしてると言われましたよ…』
新八は、はははと力なく笑っている。銀時は、暫く呆然と笑っている新八を見ていた。えーと?え?マジで?…なんだよ‼ 折角、銀さん心配したのに‼ 過去の事とか新八のダークサイドをシリアスにシンキングしてたんですけど‼ 銀時は、口を尖らせてブツブツ文句を呟いた。
新八は、銀時のだだ漏れな心の呟きを聞いて、ああ、そうかと納得し、ニコリと笑顔を向け、
『…銀さん、なんか…色々心配して貰ってありがとうございます。…確かにたまに、嫌な夢も見ますが、最近はずっと減りました。銀さんに、僕の気持ち話してから、凄く楽になりましたから。』
と言った。そして、もう寝ましょう、身体に触ります。とベッドに入った。
『…新八』
銀時が呼ぶ。
『はい?』
『おめぇに取り憑いてた奴、知ってたのか?』
銀時の低い声が静かな病室に響く。新八は肩をぴくりとさせたが、力を抜くと頷いた。
『…はい。春雨にいた頃、時々憑かれてました。春雨での…僕の仕事も…何度かやってくれてたと思います…』
『…新八…』
『…銀さんこそ、…あれでよかったんですか…僕のせいで…』
新八の声が震える。
銀時は、溜息を一つすると、
『馬鹿か、テメェは…』
と最後まで言わず、彼奴はあれで終わる玉じゃねぇだろと思った。少し沈黙が続いたが、銀時が遮る。
『なあ新八。』
『はい。』
『俺も、新ちゃんに憑けるのかなあ?』
銀時がニヤニヤしながら新八を見た。新八は、えっ?と驚いた顔をしたが、直ぐに眉間にシワを寄せた。
『…アンタ、何突然言い出すんですか…』
『いや、新八君。あんな事や、こんな事、少年だったら許される事を…ゴフッ‼』
言いかけて、花瓶が顔面に飛んで来た。
『…そんな事したら、暫く休暇もらいますから‼』
と新八は向こうを向いてしまった。銀時は鼻血をティッシュで詰めながら、しんちゃ~ん、冗談だってぇ。と猫撫で声で言うが、もう新八は話す気になれないらしく、そっぽを向いたままである。そして、暫くすると、体力の落ちている所為か、深い呼吸が聞こえてきた。
銀時は、その呼吸を心地よく聞きながら、
『さっちゃん、約束通り、3人で見舞きてやったぜ…』
と呟いて、自身も目を閉じた。そして思う。この手に届く範囲の幸せを、何時迄も護れたら、何もいらねぇわ、と。
ー了ー

銀魂改修羅編⑧

⑧修羅
激しい爆烈音と共に、森の木々の枝が揺れて、そこに住まう生き物達がけたたましく飛び立つ。小降りの木から大木に至るまで、次々と鈍い音が響き、中にはその衝撃に耐えれず凪倒されるものもある。
ようやく音が止まると、一つの大木に銀時が持たれて、血塗れで座り込んで居た。頭上にはその大木の幹に何かを叩きつけたような窪みとひび割れた跡が残る。どんな力が加わったのか、最早、銀時と向かいに立つ者にしかわかるまい。
銀時が口から大量の血を吐き、手の甲で拭いながら新八を睨む。それを見て新八は瞬時に銀時の目前に現れ、膝をつくと、銀時の頬にそっと触れた。
『くくくっ…所詮、半端な君には、僕には叶わないさ…ねぇ、こんな星壊してあげるよ。そしたら僕と一緒に来る気になるかい?』
新八は、笑いながら銀時の唇を親指でなぞった。
銀時は、その手を乱暴に払いのけた。打ち付けられる衝撃を自らの力でガードして居たとはいえ、何本かの骨が折れているだろう。銀時は咳き込む度に走る激痛に耐えながら、呟いた。
『…うるせぇ…俺ァ、今十分幸せなんだよ…ほっとけよ。…苦しくて逃げてるのはテメェだろ?テメェがひとりぼっちで寂しいだけじゃねぇか。…そんなに遊んで欲しけりゃ、今度からはウチに依頼しなア。飽きるほど遊んでやるからよ…』
新八の顔が怒りの表情となったその時、銀時の頭に、目の前の少年の声が響いた。
“銀さん、心臓です!心臓を突いて下さい!”
『な…に?…しんぱ…』
銀時は、一瞬その言葉に躊躇したが、考える間も無くすぐに理解した。そしてそのままの姿勢で、手にしている木刀のつっ先を新八の胸にあてがい、残る全ての殺気をそこに集中させた‼
『うおおおおおおおお‼』
銀時が叫ぶ!
『なっ…に⁈…ぐあああああ…⁉』
新八は胸を抑えながら、立ち上がって仰け反った。
『ま、ま…さ…か⁉ この…力は?お前…は…修羅…の⁉』
『新八‼』
銀時が少年の名を呼ぶ。その時、ずるりと新八の背後に何かが分離したように見えた。新八の瞳から緋い色が消え、表情が少年を取り戻す。即座に新八は、腰に差してあった刀を振り向きざまに抜くと、一文字に其れを斬り裂いた‼
『銀さん、遊びに来られても、困りますよ。僕、身体貸すのもう嫌ですし…』
新八は銀時に向き直り、優しく微笑んだ。そして、斬られた何かは、すうっと気配ごと消えてしまった。
『…お前は…やれば、出来る子だもんな…』
銀時は、ニヤリとそう呟いて、意識を手放した。もう限界だった。
『銀さん‼』
新八の声が森にこだました。


銀魂改修羅編⑥

⑥逆鱗
『銀ちゃん‼』
隣で神楽の声がした。ハッとした銀時は、神楽がかすり傷なのを確認すると、木刀で神楽を封じて居る鉄の錠を破壊した。
『…おまえは?ケノビの邪魔をした銀髪の!?どうして此処が?どうやって…?』
毘夷夢星人が後退る。
『…お前ら、万事屋なめんなヨ。誰が何処にいたって、誰も見捨てないのが万事屋ネ‼ …お前らは許さないアルよ。もう終わりにするネ。…地獄で後悔しろ‼』
神楽は轟音と共に次々と毘夷夢星人に襲いかかり瞬く間に薙ぎ倒した。神楽の瞳孔が開いている。留目を刺そうと神楽の拳があがった…。しかし、銀時の木刀が弧を描き神楽の鼻先で止まる。
『銀ちゃん…』
神楽は、銀さんが居る時に始末するのは無理だから、と新八が言ってたのを思いだす。神楽は諦めて、拳を引いた。
『銀ちゃん、また、こいつら、懲りずに来るアルよ?』
『神楽ァ、おめぇの気持ちは分かるが、銀さんのがド頭にきてるよ?ガラスのハート、粉々よ?それどころか、煮えくりまくってドロドロよ?家、滅茶苦茶だしィ?可愛い彼女傷物にされるしィ?俺の恥ずかしいとこ晒して、振られそうだしィ?身内攫われるしィ?…だから…てめぇらああああ‼俺の前に二度と現れるんじゃねえええええ‼』
銀時は、そう言うと、毘夷夢星人達に思い切り木刀を叩き込んだ。毘夷夢星人たちが棒切れのように地面に打ち付けられる。銀時の言う、3/4殺し。放っておけば、死ぬだろう。が、始末したわけではない。
神楽は、全く銀ちゃんはマダオアル…と呟いて首を振った。

銀魂改修羅編⑤

⑤同調
銀時は、目を閉じ、意識を集中させる。暫くすると辺りの様子が開けてくる。自宅の壁も床も透けていき、歌舞伎町が見えてくる。
後ろであやめが泣きそうな顔をしている。さっちゃん、俺の力曝け出すけど、それでも待っててくれる?…やっぱ無理だよなあ…
そう思いながら、銀時は更に意識を拡散した。そうすると、自分がまるで分子レベルとなったように、どこまでも隙間なく見渡せるようになる。街にはいない、江戸の何処かか?銀時は新八と神楽を探した。そして、ずっと遠くで、わかりづらいが、かすかに青く優しく光るモノを見つける。
“新八‼“ 銀時は瞬間的に確信する。しかし、その名前を呼ぶや否や、その光が急に輝度を増し、凄まじい勢いで銀時を包み込んだ‼
『…新八の…中に?だれ、だ?』
“…家族さ…本当の…”
頭に聞いたこともない声が響く。同時にふらり、と中心へ引き寄せられるが、眩しくて何も見えない。
“…おいでよ、早く会いたいから…君の探し物もここにあるよ?”
『‼』銀時は、それを聞くと、力強く自ら踏み出した。

程なく視界が暗くなると、まとわりつく湿気とじりつく外気温を皮膚に感じた。瞼をすっと開けると、其処には、緋い目をした新八が、性質悪く微笑んで立っていた。
『ふうん、飛べるんだ…』
新八の廻りには、サイボーグ数人の肢体がバラバラに散乱していた。
『新八?』
『…銀時…待っていたよ?』
新八は、愛おしそうに囁いた。
プロフィール

みつばあおい

Author:みつばあおい
よくわかってませんがよろしく

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